海外は英語で何?OverseaはNG!Abroad, Foreignとの使い分け

多国籍チームの職場で働く私は、「外国人」という言葉は排他的だと感じ、代わりにある表現を使っていました。それは、「People from oversea」。

「海外から来た人達」という丁寧な表現だと思い、私は何度も同僚や上司との会話でこの言葉をよく使っていたのです。

ある日、職場で「ネイティブが使わない英語」が話題になっていました。その中で、同僚が使わない英語の例として「oversea」と言ったのです。

えいとりえいとり

はぅっ!まさにそれ、私使ってる…。

それまでの自信がガラガラと崩れ去り、ショックで穴があったら入りたい気持ちでした。
「なぜ?だって辞書に載ってたのに!」と、頭の中は疑問符だらけに。

マナブくんマナブくん

「oversea」って単語は聞いたことあるけど、なんで使わない英語なの?

えいとりえいとり

この失敗の原因は、まず「oversea(sなし)は使わない」ということだったの。「overseas」なら正解と。

そして、「海外」を表す単語には「overseas、abroad、foreign countries」などがありますが、文脈に応じて使い分けるべき「品詞のルール」があるということでした。

今回は、私が失敗から学んだ、ネイティブが本当に使う「海外」の正しい英語の表現と使い分けを徹底的に解説します。

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1. 「海外」を英語で「Oversea」と言わない理由

英語で「海外」と言いたいときに「overseas」は使えます。ただし、私が職場で恥をかいた最大の原因は、「overseas」を「oversea」と言っていたこと。そして、「oversea / overseas」を名詞(特定の場所)だと思って使っていたことでした。

なんと、「overse / overseas」は名詞ではなかったのです。

1-1.「Overseas」は複数形ではなく接尾辞

私が「People from oversea」と言って失敗した理由は2つありました。まず、以下を見てみてください。

「Oversea」と「Overseas」の品詞と役割
単語 品詞 役割 ネイティブの使用頻度
Oversea (“s”なし) 形容詞 または 副詞 常に他の単語を修飾する。 非常に低い。ほとんど使われないか、古い/詩的な表現。
Overseas (“s”あり) 副詞 または 形容詞 文中で「海外へ/で」という動きや状態を説明する。 非常に高い。ネイティブが使う「海外で」の基本形。
えいとりえいとり

「oversea」は名詞でもなければ、ネイティブの使用頻度は「非常に低い」。
っていうか、今では使われない古風で詩的な表現だったのです….。
もう、「ガーン…」って感じで撃沈。

つまり、「oversea」(sなし)は現代の一般的な会話や文書では使わないということだったのです。

「overseas」の末尾の 「s」 は、名詞の複数形を示す 「”s”」 とは起源が異なります。

この場合の「s」は、古英語や中期英語において、場所や方向を示す副詞を作るためによく使われた「接尾辞」の名残です。

1-2. 「Overseas」の語源

「overseas」は「over sea」(海を越えて)が語源。「overseas」の末尾の「s」は、単語「oversea」に後から付け加えられ、「海を越えた、あの場所で」という意味合いを確立した、方向や場所を示すための特別な追加要素です。

この「接尾辞」とは、単語の語幹の末尾に付け加えられ、その単語の品詞や意味、文法的な役割(時制、数など)を変える要素のことです。

例えば、以下の単語の最後にも同じ「接尾辞」の「s」 が含まれています。

  • always (いつも)
  • towards (〜の方向へ)

つまり、「overseas」は「over sea」(海を越えて)という句に、「その場所へ向かって/その場所で」という副詞的な意味を付与するために「s」を結合し、一つの副詞として定着したのです。

1-3.「Overseas」は現代英語として役割が定着した

中世英語から近代英語初期(約14世紀から17世紀頃)までは、「oversea」も形容詞や副詞として使われていたようですが、時間の経過とともに、それぞれの役割と使い方が以下のように定着しました。

「Overseas」と「Oversea」の現代での使い方
単語 品詞の役割 現代的な認識 補足(具体的な使われ方)
Overseas (“s”あり) 副詞 / 形容詞 標準的で一般的な「海外へ/海外の」という意味。 移動・状態を示す言葉として定着し、ビジネスや日常で幅広く使われる。
Oversea (“s”なし) 形容詞(主に限定的) 古風なニュアンスか、非標準的な表現。 「oversea traffic」(海外交通)のように、ごく限定的な複合語として使用される程度。

私が職場で使った「oversea」は、英語ネイティブにとって「誰も使わない古い言葉」か「文法的に間違った場所」にある単語として認識されてしまったのです。

したがって、この二つの単語は、単数・複数の違いではなく、「現代の言語習慣に定着した標準的な副詞かどうか」の違いであると理解するのが最も正確です。

1-4.「People from oveseas」ならOK!

つまり、People from overseaではなく、「People from oversea”s”」なら決して間違いではなかったのです。

  • ❌失敗例:People from oversea
  • ✅正しい表現:People from abroad / overseas

「overseas」は「どこから来たか」を示す副詞であり、名詞ではありません。

しかし、「from」と組み合わせることで、「海外から来た人々」という「名詞の役割を果たす句(名詞句)」として機能しているのです。

この「from + 副詞」の構造は、英語で「どこから来た人か」を説明する際の慣用的なパターンとして許容されています。

「overseas」は、現代英語において「海外へ」「海外で」という「場所や方向を示す副詞」として完全に定着しているため、前置詞 from と一緒に使われることで、場所を示す「名詞」のように認識されています。

一方で、「oversea」(sなし)は、現代英語では使わないため、前置詞「from」の直後に置いても、そもそも不自然です。

1-5. 「Overseas」の適切な使い方と例文

ネイティブが「海外の、海外へ」という意味で使う場合は、通常 overseasを使います。以下のようなときに使うのが適切で正しい使い方です。

「Overseas」の品詞別使い方
品詞 表現 日本語訳
形容詞 overseas market 海外市場
副詞 live overseas 海外に住む
  • We need to expand into the overseas market.
  • (弊社は海外市場で拡大する必要がある。)

  • She decided to move and live overseas.
  • (彼女は海外に住むことを決めた。)

ちなみに、「overseas」や「abroad」のような「場所・方向を示す副詞」は、移動の方向を示す前置詞 (to など) は不要です。一方で、起点を明確にする前置詞 (from) は必要な場合があります。

    海外へ行く:

  • I will go overseas(’to’は不要)
    海外から来る:

  • Many tourists come from overseas.(’from’は必要)

2.「Abroad」 V.S 「Overseas」:ネイティブの使い分けルール

私も「overseas」と「abroad」の2つの単語の使い分けがわからずよく悩んでいました。どちらも「海外で/海外へ」という意味を持ちますが、実は使用頻度、ニュアンス、そして使い方のルールに決定的な違いがあるのです。

2-1. 汎用性が高いのはAbroad

結論として、日常会話で広くさまざまな物事や用途で汎用的に使えるのは「abroad」です。
「overseas」は、「ビジネスや地理的に強調するとき」によく使われます。

Abroad と Overseas の比較
単語 頻度 ニュアンス
Abroad (汎用型) 高い ややフォーマル寄り〜一般的。地理的な距離は問いません。特にアメリカ英語で好まれます。
Overseas (ビジネス・地理的強調) 高い ややカジュアルな印象も。地理的・ビジネス的なニュアンスが強い。海を越える移動や海外ビジネスの文脈で特に使われます。

abroad(汎用的な行動に使用)
例文

  • I want to study abroad.
  • (留学したい)

補足: 日常会話からビジネスまで汎用的に使用可能。

overseas(ビジネス・地理的な強調で使用)
例文

  • Our overseas sales are growing.
  • (海外売上が伸びている)

補足: 海を越える移動や海外ビジネスの文脈で特に使われます。

2-2. 使い方の大きな違い(ルールとニュアンス)

両者の違いは主に「地理的に海を超えるかどうか」と「名詞を修飾する形容詞として使えるか」にあります。

A. 地理的なニュアンス:「海を越えるかどうか」

  • overseas: 海を越えた国を指すイメージが強い。物理的に海を挟む場所に焦点があります。
    補足: 日本は島国なので、日本からの移動であれば、どちらを使っても地理的な誤りになることはありません。
  • abroad: 自国を出て他の国に行くことを指します。海を越えるかどうかは問わないため、ヨーロッパの国々のように陸続きの移動にも使えます。

B. 名詞を修飾する形容詞として使えるか

最も大きな違いは、名詞を直接修飾する形容詞として使えるかどうかです。

Overseas と Abroad の品詞別使用ルール
単語 形容詞の役割 (名詞修飾) 副詞の役割 (動詞修飾)
Overseas ✅ 使える (海外の支店 overseas branch) ✅ 使える (海外で働く work overseas)
Abroad ❌ 使えない (形容詞ではない) ✅ 使える (海外へ行く go abroad)

「海外の〇〇」と名詞を修飾するなら、必ず overseas を使います。abroadは形容詞として使えません。

マナブくんマナブくん

あのさ、「海外」を名詞として使える英語の単語はないの?

えいとりえいとり

実は、英語には「海外」という言葉にピッタリあてはまる名詞の単語がないの。
代わりに、文脈に応じて最も近い意味を持つ名詞句や場所を表す言葉を使うんだ。「overseas」以外の「海外」の表現も紹介するね。

3.【その他】知っておきたい「海外」を表す英語表現

その他にも、「overseas」以外で一般的に「海外」と言うときに使える役立つ英語を紹介します。

3-1.「海外」の3つの表現:Foreign Country / Abroad / Global

「overseas」は名詞句として使うことはあります。同様に、「overseas」以外で一般的に「海外」という名詞もしくは名詞的な役割を果たすのは、主に以下の3つの表現です。

  • Foreign Country または Foreign Countries
  • Abroad
  • Global または International

Foreign Country(または Foreign Countries)

「外国(の国)」という、場所や国そのものを指す最も直接的な名詞表現です。

  • 一つの外国:a foreign country
  • 例文
    I have never lived in a foreign country.
    (私は海外に住んだことが一度もありません。)

  • 複数の外国:foreign countries
  • 例文
    I have never lived in a foreign country.
    (私は海外に住んだことが一度もありません。)

    Traveling to foreign countries is exciting.
    (海外への旅行は刺激的です。)

その他に、「People from outside of Japan」の表現も使えます。

Abroad

文法的には副詞ですが、日常会話では「外国の場所や状態」という名詞的なニュアンスで使われることがよくあります。

  • 海外(にいる):stay abroad
  • 例文
    I want to study abroad. (私は海外で勉強したい。)

  • 海外生活:life abroad
  • 例文
    I miss my life abroad. (私は海外での生活が恋しい。)

The Global Market (または International Market)

「海外」というより「国際的」というニュアンスが強くはありますが、ビジネスや貿易など、経済的な文脈でMarketと一緒に使うことで「海外(市場)」という名詞の役割になる場合があります。

  • 海外市場:the global market
  • 例文
    Our next goal is expanding into the global market. (私たちの次の目標は、海外市場への拡大です。)

3-2.「外国」と「海外」:Foreign / Abroad / Overseasをどう使い分ける?

日本語の「外国」と「海外」は微妙に違うニュアンスがありますが、英語で表現するには、その単語が文中で名詞、形容詞、副詞のどの役割を果たすかを基準に単語を選びます。

「外国」に適切な英語表現と使い方

「外国」という言葉は、主に「自分の国以外の国」という意味で使われます。

  • 形容詞として (〇〇の): Foreign
  • 例: Foreign language (外国語)

  • 名詞句として (国そのもの): Foreign country
  • 例: I live in a foreign country. (私は外国に住んでいます。)

ポイント: 「Foreign country」のように、二つ以上の単語をセットで使い、名詞のような役割をする「まとまり」を名詞句と呼びます。

「海外」に適切な英語表現と使い方

「海外」は、「海を越えた向こうの場所」という地理的なニュアンスと、「国外」という状態を指します。

「Overseas」と「Abroad」の品詞別役割と例文
役割 英語表現 例文
形容詞 (〇〇の) Overseas Overseas business (海外事業)
副詞 (〜へ/〜で) Overseas I work overseas. (海外で働いています。)
副詞 (国外へ/で) Abroad She went abroad. (彼女は国外へ行きました。)

「overseas」と「abroad」はどちらも「国外」を意味しますが、まず決定的な判断基準は「形容詞かどうか」

次に「何を意識しているか」という視点に注目しましょう。

「overseas」は地理と海物理的な距離(海を隔てた場所)や、専門的な活動(ビジネス、貿易)が焦点。

「abroad」は、国境と行動自国を離れる行為や、広く一般のレジャー・留学が焦点。地理的なルールがありません。

使い分けの結論

foreign, overseas, abroadの使い分けの結論は以下の通りです。

  • 名詞を修飾する形容詞として: foreign または overseas のみを使用
  • 動詞を修飾する副詞として: overseas または abroad を使用

例: abroadを使う場合は、常に副詞として動詞の後ろに置きます (例: She went abroad.)

4. 【シーン別活用法】英語での正しい「海外」の表現

ネイティブは「海外」「外国」と表現するために、その状況が「行動」なのか「場所」なのかによって、単語を使い分けます。3つのシーンに分けて適切な使い方と例文を紹介します。

  • 4-1. 移動・訪問・滞在を表すとき
  • 4-2. 「外国の国々」という名詞を使うとき
  • 4-3. ビジネスや貿易の文脈

4-1. 移動・訪問・滞在を表すとき(副詞の Go abroad が基本)

最も多く使われるのが副詞の abroad または overseas です。

  • 「海外へ行く」:Go abroad / Go overseas
  • 例文
    I want to go abroad next year.
    (来年、海外へ行きたい。)

  • 「海外に住む」:Live abroad / Live overseas
  • 例文
    She is currently living overseas.
    (彼女は現在、海外に住んでいる。)

  • 「海外からの人」:People from abroad
  • 例文
    We have many people from abroad in this office.
    (海外からの人がこのオフィスにはたくさんいます。)

4-2. 「外国の国々」という名詞を使うとき

国や場所そのものを指したい場合や、形容詞的に使いたい場合。

  • 「外国(の国)」:Foreign country / Countries
  • 例文
    Traveling to a foreign country requires a visa. (外国への旅行にはビザが必要です。)

  • 「外国製品」:Foreign product
  • 例文
    We mainly sell foreign products. (私たちは主に外国製品を販売しています。)

4-3. ビジネスや貿易の文脈

ビジネスシーンでは「overseas」が好まれる傾向があります。ただし、以下のような「海外事業」や「海外支店」と言うときに使います。

  • 「海外事業」:Overseas business
  • 例文
    Our company is planning to expand our overseas business. (我が社は海外事業を拡大する予定です。)

  • 「海外支店」:Overseas branch
  • 例文
    I might be transferred to the overseas branch.
    (私は海外支店に転勤になるかもしれません。)

まとめ

意外と曖昧になりがちなoverseas、abroad、foreignの使い方の違い。名詞を修飾する形容詞として使う場合はforeignまたはoverseasのみを使用。動詞を修飾する副詞としてはoverseasまたはabroadを使用すると覚えておくと良いでしょう。