英語が原因で、静かに仕事を任されなくなる瞬間。それは、明確な拒絶ではなく「なんとなく呼ばれない」という形でやってきます。
成果は出している。
数字も作っている。
社内での評価も決して低くない。
それなのに、なぜか自分だけ外される業務があった。
海外クライアントが絡む重要な案件。
大きな裁量を持って進めるべき役割。
当時の私は、「英語が理由かもしれない」と薄々感じながらも、その正体が何なのか、はっきりとは分かっていませんでした。
海外クライアントの仕事に、なぜかタッチしていなかった
重要だったのは、私は英語がまったくできなかったわけではないという点です。
- 日常会話は問題なくできる
- 英語で意思疎通もできる
- 既存の定型業務なら英語でこなせる
それでも、海外クライアントが直接関わる「タフな交渉」や「関係構築」の場には呼ばれませんでした。最初はただの経験不足だと思っていました。でも、あるときふと気づいたのです。
上司の評価は「会話」ではなく「仕事の英語」だった
明確に指摘されたわけではありません。ただ、チャンスを逃した場面を振り返ったとき、残酷な共通点が見えてきました。
「会話はできる。でも、仕事で使う英語としては、まだ足りない」
ここで言われていた「仕事の英語」は、難しい専門用語や、教科書通りの美しい文法のことではありませんでした。
求められていたのは「曖昧ゾーンの英語」
今ならはっきり分かります。評価されていたのは、いわゆる「ビジネス英語」の知識量ではなく、仕事の場で「安心して背中を預けられる英語感覚」でした。
専門用語がわかるとか、テキストで習うビジネス英語とか、TOEICのスコアがいいとかじゃなく、実は、これが一番求められる英語のスキルなんです。
例えば、
- 通じる英語: I can’t do that.(できません)
- 信頼される英語: I’m afraid that’s not something we can accommodate at this moment.(現時点では、ご要望に沿いかねます)
意味は同じです。でも、前者は角が立ち、後者は「立場を理解した上でのプロの回答」として響く。この「判断をぼかさず、でも強すぎない表現」の差。
職場でネイティブの同僚が、クライアントとの少し厄介な交渉がある際に「あなたのwording(言葉選び・言い回し)に任せる」とよく言うのですが、これが大切なんです。
ちなみに、まず仕事を始めたばかりのときに上司から言われたのは、「I want〜と言わないで。I would like to〜と言いなさい。」でした。
こうした微細な言語感覚の欠如が、知らないうちに「この人に任せるのは、まだ不安」という評価に積み重なっていたのです。
なぜ自分では気づけなかったのか
理由は単純でした。誰も、私の英語を直してくれなかったから。
通じている。会話は成立している。仕事は回っている。だからこそ、
「今の言い方だと、相手は不快に感じたかもしれないよ」
「そのニュアンスだと、自信がないように聞こえるよ」
と教えてくれる人は、職場には一人もいませんでした。
私が話す英語に「微妙な顔」をする瞬間があるのはわかるけど、誰も指摘はしません。
変わったのは、英語を「学び直した」からではない
私がこの停滞から抜け出せたのは、単語を増やしたからでも、文法書をやり直したからでもありません。
自分では気づけない「微細なズレと不自然な英語」を、その場で言語化してもらえる環境に身を置いたからでした。
「意味は合っている。でも仕事なら別の言い方がある」
その違いを論理的に修正してもらう。これを繰り返すことで、自分の癖や、評価を止めていた原因が初めて可視化されました。
この違いに気づいた瞬間から、周囲の評価は単なる「語学力」ではなく、「安心して任せられる人かどうか」という信頼に変わりました。
英語が原因で任されないのは、能力不足ではない
もしあなたが、「英語は話せる。仕事もできる。でも英語が絡む役割だけ任されない」と感じているなら、それはあなたの才能不足ではありません。
足りないのは努力ではなく、「仕事で通用する英語にリアルタイムで修正される環境」。それだけです。
話せるのに伸び悩む人が、最後にぶつかる壁。この壁は、知識を詰め込むだけでは超えられません。なぜなら問題は「知識」ではなく、自分では見えない「死角」にあるからです。
私が「話せるのに評価が止まっていた」状態から抜け出せたのは、
「どこで不安を与えていたのか」
「どこが信頼につながっていなかったのか」
を感覚ではなく、言語として理解できるようになったことでした。
つまり、英語が「通じるかどうか」ではなく、「その発言が、判断・責任・立場としてどう聞こえるか」
という視点で捉えられるようになった、ということです。
その結果、個別のクライアント案件だけでなく、チーム全体や会社全体の流れを見る役割を任されるようになりました。
これは、参考書やフレーズ集を読んでも分からなかったことです。
英語は通じている。でも、
「評価されない / 不安が消えない」
「なぜか任されない / 自信が持てない」
もし、あなたにも心当たりがあるなら、それは能力不足ではありません。
あなたの英語が、「直されていない英語」が原因になっている可能性があります。
私が職場で感じたこの違和感と英語の問題を、独学だけで解消できた人を、私は一人も知りません。
自分では気づけない不自然さやズレを、「今の言い方だと、こう聞こえるよ」とその場で返してもらって初めて、理解できるものだからです。
私がどこでつまずき、何が分かるようになって変わったのか。
そして「話せるのに伸び悩む人」が、そこから抜け出すために必要な環境とは何なのか?
私が実際に何を変えたのかを、次の記事で詳しく書いています。






