ことはさん ねぇ、英語で「お疲れ様です」ってなんて言うの?
えいとり う〜ん、英語には「お疲れ様」という言葉はないんだ。
日本では、相手の努力や苦労をねぎらい、感謝の気持ちを伝える、非常に便利な言葉です。しかし、英語圏の文化には、この「お疲れ様」という概念に完全に一致する単語やフレーズは存在しません。
なぜなら、英語圏では「仕事の終わり=解放」と捉える文化が根強く、相手の疲労を指摘したり、曖昧に労う習慣がないからです。
ことはさん じゃあ、どうやって英語で相手に「あなたの頑張りを認めてる」とか、「労ってる」っていう気持ちを伝えるの?
英語では、「感謝」「称賛」「評価」のいずれかに焦点を当てて、具体的な状況に合わせて表現を使い分けることが重要なんです。
この記事では、「お疲れ様」のつもりで使ってはいけない表現の注意点、日常・ビジネスシーンで相手に気持ちが伝わる適切な英語フレーズを、シチュエーション別に詳しく紹介します。
スポンサーリンク
避けるべきNG表現

まず、日本人が「お疲れ様」のつもりで使いがちだけど、英語圏では不適切、または違和感を与える二つの表現を解説します。
- Good job.
- You must be tired.
“Good job!” は失礼になる?
よく「お疲れ様」に近い英語の表現として”Good job”や”Well done”が紹介されているのを見かけます。
確かに多くの人が「よくやった」「頑張ったね」という意味で使いますが、これらのフレーズは「評価」のニュアンスが強すぎるんです。
えいとり 日本語で「お疲れ様」と伝えるニュアンスとは違うし、場合によっては失礼と相手が感じる場合もあるから注意してね。
“Good job”や”Well done”は、教師から生徒へ、親から子どもへ、または上司(評価者)から部下(被評価者)へというように、明確な上下関係がある場合に、目上の人から目下の人に対して「評価を与える」ために使うのが自然です。
つまり、日本語の「お疲れ様」が意味する「労い」とは異なるものです。
同僚や、ましてや上司や顧客に対して使うと、「私があなたの仕事ぶりを評価してあげますよ」という上から目線、偉そうな印象を与えてしまうため、非常に失礼にあたります。
“You must be tired.”は労いの表現ではない
日本語の「お疲れでしょう」という気遣いを込めて”You must be tired.”と言うのは、よくある誤訳の一つです。
英語の “You must be tired.” は、「あなたは疲れているに違いない」という「疲労状態を指摘・断定」するニュアンスが非常に強い表現です。
相手にとっては、「ネガティブな印象を持たれている」とか「疲れていることを勝手に決めつけられた」「わざわざ指摘されて不快だ」という感覚になる可能性があり、気遣いとは受け取られません。
本当に体調を心配している場合は、”Are you okay? You look tired.”のように聞く方が自然ですが、これも多用すべきではありません。
職場で誰にでも使える「お疲れ様」に適する最も短いフレーズは?

シチュエーションによって異なりますが、職場などで同僚や部下、親しい上司、チームメイト、誰にでも使える労いの表現として最適なのは”Great work”です。もしくは感謝の気持ち”Thanks”。
“Great work!”は仕事や努力そのものに焦点を当てているため、単なる評価というよりも「あなたの素晴らしい貢献を認めている」という感謝と労いのニュアンスが強く伝わります。
具体的な成果への称賛
(素晴らしい仕事だった。)
相手の時間/努力への感謝
(今日は時間を割いてくれてありがとう。)
(あなたの努力に感謝します。)
【シーン別】「お疲れ様」の気持ちを伝える英語フレーズ

「お疲れ様」の気持ちを伝えるには、そのシチュエーションやシーン別に、相手に伝えたいメッセージ(感謝・称賛・労い)を明確にして、表現を使い分ける必要があります。
日常生活・仕事の終わりにカジュアルに伝える
「お疲れ様」の代わりに英語では相手の行動や努力に「感謝」を伝えることが重要です。
最も無難で日常的に使える表現は、シンプルに「ありがとう」や「良い一日を」と伝えることです。
退社・退勤時
(良い夜を/良い週末を。)
最も一般的で自然な挨拶。 「お疲れ様」の機能である「別れの挨拶」として使います。
別れ際全般
(今日はありがとう。)
同僚や友人に 短く、今日一日の関わりに感謝を伝える、カジュアルな労い。
手伝ってもらった後
(本当に感謝しています、ありがとう!)
「I appreciate it.」 は誤解されやすいフレーズですが、”really”をつけて、心からの感謝を込めて言うと、丁寧な労いになります。
会議・プロジェクト終了直後(労いと評価)
次に、会議やプロジェクト終了後に、参加者の貢献を「称賛」し、時間を割いたことに「感謝」を伝えたいときの表現です。会議のファシリテーターやプロジェクトリーダーが、参加者に感謝と「今日の頑張り」を伝える場面で使います。
(一緒に仕事ができて良かったです。)
(同僚に) 共に時間を過ごしたことへの感謝と労いの気持ち。
(完璧にやり遂げたね!/ 大成功だね!)
強い称賛と評価を示しています。”nail”(釘を打ち付ける)という単語から来ており、「完璧にやり遂げた」という意味合いがあります。相手の努力が実を結び、素晴らしい成果を出したことを強く認める、ポジティブな言葉です。
しかし、注意点があります。非常に口語的でカジュアルな表現です。親しい同僚、チームメイト、または部下に対して使うのが最適です。目上・フォーマルな場では不適切。
(有意義な会議でした。皆さんありがとう。)
(会議の最後に) 成果を評価し、時間を割いたことへの感謝を伝える、最も適切な締めくくり。
(今日の貴重なご意見に感謝します。)
(参加者へ) 具体的な貢献(インプット)に焦点を当てて感謝を伝える、丁寧な表現。
皆さんの努力に感謝します。
(プロジェクトリーダーから) 労いを込めて、チームの頑張り全体をねぎらう。上から目線になりにくい表現です。
(よくやった、チーム!今日は終わりにしよう。)
(カジュアルなチームで) 称賛と同時に「終わり」を宣言し、解放感を与える「お疲れ様」。
メール・書面での丁寧な「お疲れ様」
ビジネスメールでは、単に「お疲れ様」というより、相手の貢献に対して具体的かつ丁寧に感謝を述べるのが一般的です。目的は、相手の「尽力」と「協力」を「評価」し、感謝を伝えることです。
(この件でのご尽力に感謝いたします。)
相手の多大な努力に焦点を当てた、最も丁寧な「お疲れ様」の意図を伝える表現。
(心よりご協力に感謝申し上げます。)
(協力者へ) 相手が協力してくれたという「行為」への感謝をフォーマルに伝える。
(本件に迅速にご対応いただき感謝申し上げます。)
(対応の早さに) 「お早いご対応お疲れ様でした」の意図を伝える、ビジネス定番フレーズ。
(お時間とご配慮に感謝いたします。)
相手の時間と配慮という目に見えない労力をねぎらう、非常に丁寧な結びの言葉。
なぜ英語圏は「お疲れ様」と言わないのか?
では、なぜ英語には「お疲れ様」という決まった言葉がないのか疑問を持った方もいるでしょう。英語を理解する上で、日本と英語圏の国の文化背景の違いを理解することは大切です。以下のような文化背景の違いが理由と言えます。
自己責任の文化
「疲れた」と感じるのは個人の体調管理の問題であり、他人がそれを指摘したり、必要以上に労ったりする習慣がありません。例えば、疲労を指摘する”You must be tired.”は、「能力がないのでは?」と感じられていると捉えられかねないデリケートな言葉になる可能性があるのです。
英語では曖昧な表現は避けられる
日本語で「お疲れ様」は万能ですが、英語ではこのような曖昧な表現は避けられるので、基本的に存在しません。そもそも、英語圏の国には「労う」という行為に完全に一致する考え方や習慣はないのです。英語は「何に」感謝しているのか、「何を」称賛しているのかを具体的に伝えることが重要です。
“I appreciate it” を使う際の注意点

“I appreciate it.” は丁寧ですが、トーンによっては「ありがたい(が、それだけだ)」という事務的な距離感を生むことがあります。
“Thank you so much, I really appreciate it.”のように、”Thank you” や “really” を加えて感情を強調することで、心からの感謝を伝え、冷たい印象を避けることができます。
また、”I appreciate that this was hard for you.” のように、「感謝」ではなく「理解・認識」のニュアンスで使う場合は、相手の苦労を認めつつ、冷静に状況を判断しているという、大人なコミュニケーションを成立させることができます。
まとめ
「お疲れ様」を英語で伝える最良の方法は、「相手の労力を具体的に認め、それに対して感謝を述べること」です。日本の「お疲れ様」は万能ですが、英語の世界では、その都度、適切な言葉を選ぶ「使い分け」が、相手の心に響く「お疲れ様」の気持ちを伝えることになるのです。ぜひ、状況に応じて心のこもった英語表現を使ってみてください。






