ことはさん 私、結構グルメで話題のお店チェックは欠かさないの。それを外国人の友達に伝えたくて”I’m a gourmet”って言ったら「?」って顔されちゃった。間違ってたのかな?
えいとり あ〜、うん。日本語の「グルメ」は英語で「foodie」って言うの。”I’m a foodie.”
「Foodie」は、割と新しい言葉でイマドキな「グルメ」の表現です。日常会話でよく使います。
「グルメ」の英語は、日本人が間違いがちな言葉ですが、私も英語を話し始めたばかりの頃は、この単語を知らない一人でした。だから、誤解する日本人の気持ちがよく分かります。
私がメディアの仕事で関わった広告案件のプロジェクトで、レストランを運営するクライアントが、英語の広告コピーの原案に「Gourmet」を使っていました。
日本語の「グルメ」の感覚で「Gourmet」を使ってしまうと、広告メッセージが伝わらないことがあるんです。
私は、「グルメ=Foodie」であることは知っていましたが、なぜその言葉を使うのが適切か説明できなくて、クライアントを説得できない問題に直面しました。
えいとり 仕事におけるこの出来事で、おざなりにしてた「単語の品詞(形容詞・名詞など)とニュアンスの理解」がいかに重要かを痛感したの。
この記事では、私の体験談をもとに「グルメ」の正しい英語表現と「Foodie」と「Gourmet」の使い方の違い、英語学習における品詞の理解の重要性について解説します。
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「Gourmet」はグルメな「人」ではなく「品質」を意味する

クライアントが提示してきたレストラン広告のキャッチコピーの原案には「Experience the Gourmet」というテキストが記載されていました。
編集部からは「Gourmet」ではなく「Foodie」を使ったコピーに変更する提案があり、クライアントにも話しました。
しかし、クライアントはどうも納得していない様子。そして、返事がありました。
「『Foodie』という言葉は少し安っぽく感じて嫌だ。高級なイメージにしたいから『Gourmet』を使いたい。」と。
ちなみに、宣伝したいお店は、明かに高級レストランではありませんでした。
私は「日本語の『グルメ』は英語で『Foodie』」と知ってはいましたが、正直どう説明したら良いのか分からなかったのです。
えいとり なぜなら、「グルメ=Foodie」と、ただ丸暗記していただけだったから。
説得するには、なぜ「Gourmet」が不自然で、「Foodie」が最適なのかを、深く掘り下げる必要がありました。
「Gourmet」は「形容詞」として使うのが一般的

そこで編集担当のオーストラリア人の同僚に説明を求めたところ「広告では『Foodie』を使うのが最適」と。さらに「英単語の品詞」の理解が必要だと気づきました。なぜなのかを解説します。
Gourmetは名詞と形容詞で意味が違う
一般的に「Gourmet」は、「高級な、質の高い〜」という「形容詞」として使うのが主流ということだったのです。
「人」を示す名詞としても使えなくはないのですが、非常にフォーマルかつ古風な響きで、高級志向な「食の専門家」をイメージさせると。
例えば、クライアントのコピー「Experience the Gourmet」だと、まるで「美食家を体験しろ」とか「高級品そのものを体験しろ」という意味になり、文法的に不自然で、これでは何を体験するのか不明瞭。「まず、ネイティブは使わない」と編集担当は言いました。
「Gourmet」は物の「品質」を表す言葉
「Gourmet」は、主に商品の品質や種類を説明する言葉。「Gourmet Coffee」や「Gourmet Sandwich」のように、「洗練された」「こだわりの」という形容詞として使うのが一般的なんです。
広告コピーや日常会話では「Foodie=人」、「Gourmet=もの」 のイメージで使い分けるのが安全。
「Gourmet」という単語は存在するけれど、「使い方が完全に違う」ということだったのです。
なぜ広告コピーには「Foodie」が最適なのか?

結局、Foodieは使わない選択をクライアントは選びました。私は、クライアントに説明を付け加えるべきだったと後悔しました。「もっといい説明ができていれば、納得してくれて適切な広告コピーを使えたかもしれない」と。特に、広告コピーには「Foodie」が最適である理由がちゃんとあったのです。
Foodieの言葉が持つニュアンスとマーケティング効果
もしお店が「質の高い食を求めるお客様」を集めたいのであれば、英語圏でその層を指すのは、「Foodie」一択なんです。
なぜなら、「Gourmet」は知識豊富な「食の専門家」という堅いイメージがあるから。
一方で、「Foodie」には行動力と好奇心のニュアンスが詰まっています。単に「美味しいものが好き」ではなく、「新しいお店を試す」「話題のレストランに行く」「SNSでシェアする」といった「行動を起こす人」のことを示します。
この違いが、お店の集客力に直結するのです。
つまり、「Foodie」が広告において最適である理由は、単にイマドキでカジュアルな表現だからではなく、そのニュアンスとマーケティング効果があるから。
「Foodie」を使った広告コピー例
「Foodie」は「食」への情熱と行動力を表し、食文化全般に情熱や関心を持つ人のことです。
高級レストランだけでなく、屋台やB級グルメ、高級料理まで、「美味しいものへの探求心が強い」人を指し、その幅広さとポジティブさは広告に最適です。
広告のコピー例を挙げてみます。
例)
(すべての食通が虜になる隠れた名店。)
(すべてを食べ尽くしたグルメなあなたへ。)
グルメな人を説明するときは、以下のように言えます。
(彼はとても食べることが大好きで、表参道で美味しいお店を全部知っているんです。)
「Foodie」は人物を指す「名詞」としての役割が明確なので、 「食を愛する人」という広告のターゲット層を明確にします。
「グルメ」のその他の英語表現と「Foodie」を比較

「グルメ」に相当する英語表現は「Foodie」だけではありません。他にもEpicure、Connoisseurなどがありますが、広告コピーでは「Foodie」が最適です。
これらの単語が持つニュアンスと広告コピーとしての適性を比較してみます。
ニュアンス:
・形容詞:高級な、質の高い。
・名詞:知識豊富な専門家(古風)。
広告の適性:品質を語るには良いが、人をターゲットにするには堅苦しい。
ニュアンス:食に情熱を持ち、探求する人。食通で食のトレンドにも詳しい。カジュアルかつポジティブ。
広告の適性:現代のターゲット層に最適。行動力と好奇心を訴求できる。ブログやSNSに最適でトレンド重視。
ニュアンス:単純に「食べるのが好きな人」「食に関心がある人」。日本語の「グルメ」に近いけれど、食の知識や流行に詳しいかどうかは関係ない。
広告の適正:広告のコピーで使われるけどFoodieとはちょっと違うニュアンス。必ずしも「高級料理や通ぶった食」を意味するわけではない。幅広い層をターゲットにした広告に最適。
ニュアンス:食べ物やワインの洗練された快楽を求める人(享楽家)。
広告の適性:非常にフォーマルで、やや禁欲的・退廃的な響きがあり、広告には不向き。
ニュアンス:芸術や特定の分野の専門的な鑑定家(食に限らない)。
広告の適性:知識が深いが、一般客を遠ざける堅さがある。
SNS広告では圧倒的に「Foodie」が使われる

Food loverも広告コピーで使われますが、SNSでは、圧倒的に 「Foodie」が使われることが多いです。なぜなら、トレンド感が強く、SNSは若者・食通・流行を追う層が多く、「食のトレンドに敏感」というニュアンスが響きやすいからです。
クライアントが「Gourmet」をどうしても使いたい場合、”The True Taste of Gourmet Japan”のように、形容詞として使うなら間違いではありません。でも、英語ネイティブの編集担当はあえて説明も提案もしなかったのです。
なぜなら、最終的な広告のターゲットを考えれば、やはり「Foodie」の持つ集客力と現代的な魅力には敵わないからです。説明するとややこしくなって、良い方向に導けないと思ったのでしょう。
仕事で取り引きがあるクライアントには、私が英語の品詞をちゃんと理解できていたら、もっといい説明ができたし、最適な広告コピーを使えたのにと後悔した失敗談でしたが、この体験は私にとっても英語学習の教訓になりました。
まとめ
英語を学ぶ上で大切なのは、単語の表面的な意味だけを覚えるのではなく、その「品詞」と「どのような状況で使われるか」をセットで理解することです。
「グルメ」と言いたいとき、ターゲットが一般の食愛好家であれば、「Gourmet」ではなく、自信を持って「Foodie」を使ってください。それが、現代英語における最も正しく、ポジティブで、効果的な表現なのです。






