インドを旅すると、必ずと言っていいほど、レストランで”Veg or non-veg?”と聞かれます。
「ヒンドゥー教徒は牛が神様だから、インドでは牛肉を食べるのが禁じられている」という印象はあるでしょう。では、「なんで鶏肉も豚肉も食べないの?」と疑問に思うかもしれませんが、インドではそれ以上に「ベジタリアンという生き方そのもの」が文化や宗教の中に深く根付いているんです。
なぜなら、肉食は「不浄」とされ、「他の命を殺さない=アヒンサー(非暴力)」が徳とされているから。
えいとり でもね、南インドのケーララを旅してたときに、旅で出会ったインド人や宿のオーナーに聞いて、初めて知った意外な事実があるの。
実は、インドではヒンドゥー教徒でも牛肉を食べる人達が結構いるということです。しかも、宿のオーナーは「”beef=cow(の肉)”ではない」と言うんです。
えいとり え〜〜???どういうこと?じゃあ、牛肉は何て言うの?
と疑問に思ったので、掘り下げて聞いてみたところ、意外な事実が発覚したのです。
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インドでは「beef=cow(牛)」じゃない?

「”beef=cow”ではない」と言うと誤解を生むかもしれませんが、一般的にインドで”beef”と言うと”buffalo”の肉で、レストランのメニューで”beef”と書かれていても、それは”buffalo”の肉であることが多いと言うのです。
つまり、この写真のように角がある動物”buffalo”(水牛)の肉であり、角がない”cow”(牛)の肉ではないと。
「牛は神聖な動物」がヒンドゥー教の考え方
インドでは人口の約8割がヒンドゥー教徒と言われています。ヒンドゥー教では、牛(cow)は「母なる存在」として崇拝され、命を支える神聖な動物とされているのです。
そのため、牛を食べることはスピリチュアルな禁忌(spiritual taboo)とされています。
マナブくん じゃあ、やっぱり牛肉は食べちゃダメなんじゃないの?
えいとり それが、州によって違うみたいなの。
州によって違う「ビーフ禁止」の法律
インドは広大で多民族国家でもあることも理由の一つか、州によって法律が異なります。宗教だけでなく、法律でも多くの州が牛のと殺(slaughter)を禁止しています。そのため、レストランで「beef」と書かれていても、実際に使われているのは水牛(buffalo)の肉であることが多いのです。
えいとり つまり、インドの多くの地域では、“beef=buffalo” (ビーフ=水牛肉)という文化的な認識が一般的なの。
牛を食べる地域もある
とはいえ、インド全体が同じルールではありません。ケーララ州、ゴア州、コルカッタ(西ベンガル州)などでは、宗教が多様で、牛(cow)も水牛(buffalo)も食べる文化が受け入れられています。
これらの地域にはキリスト教徒やイスラム教徒も少なくないからか、食文化も自由です。そのため、同じ「ビーフカレー」でも、場所によって肉の種類が違うことがあるんです。
宿のオーナー曰く、牛肉を食べることが宗教的にも社会的にも避けられているのは、北インドだけだと言うのです。
ちなみに、ヒンドゥー教では「牛は神様」とされていますが、何と、そのインドは世界有数の牛肉の輸出国という事実もあります。その中に水牛も含まれていて、インドの水牛の飼育頭数は世界最大とも言われているのです。
旅で役立つ英語フレーズ

実際に現地で「ビーフ」を注文するときは、肉の種類を確認するのをおすすめします。そこで、牛肉の種類を聞くときに役立つ英会話フレーズを紹介します。
(ここではビーフ料理がありますか?)
(それは牛ですか?水牛ですか?)
レストランでウェイターにこう答えられることもあるでしょう。
(うちは牛は食べません。水牛だけです。)
つまり、同じ “beef” を使っても、場所によっては誤解されることもあるので、英語でも「牛(cow)」か「水牛(buffalo)」を明確に伝える方が混乱を招きません。
えいとり 例えば、「デリーで牛肉を食べた」と言ったら、インド人に誤解される可能性があるので注意してね。
なぜなら、デリーは北インドの都市だからです。
マナブくん じゃあさ、buffaloの肉は本当は英語で何て言うの?
えいとり buffaloの肉もcowの肉も両方とも”beef”と言うみたい。だからインドのメニューにも”beef”と書かれているの。
でも、デリーで牛肉を食べた場合は、”I tried buffalo meat curry in Delhi.”(デリーで牛肉カレーを食べた)と言った方が、文化的な意味で丁寧な印象があり、誤解を招かないでしょう。
えいとり それにしても、ベジタリアンかそうじゃないかは結構大事。ある企業のインド人グループ(コルカッタ出身の人が一人、ジャイプール出身の人が3人)と旅中に知り合ったんだけど、たまにコルカッタ出身の彼だけ別のレストランに行ったり、食事をシェアしないで単品で注文したりしてた。
まとめ
インド旅を通してわかったのは、言葉の意味は文化によって変わるということ。”beef”というシンプルな単語の裏にも、宗教、法律、歴史、そして人々の暮らしが見えます。もしインドを旅するときは、“beef” の一言に隠れた文化の奥深さを、ぜひ感じてみてください。インドは、ある程度の教育を受けている人達は英語を話す国です。南インドのケーララは、北インドと比較して治安が良く旅しやすいので、ぜひいつか行ってみてください。






