直訳すると正しいのに通じない英語|日本語で考えた瞬間に失敗する表現とは?

「意味は合っているはずなのに、相手の反応が微妙だった」
「文法は完璧なはずなのに、なぜか首をかしげられた」

英語を真面目に勉強している人ほど、一度はこんな経験があるはずです。でも実は、その原因はあなたの英語力が低いからではありません。

原因はただ一つ。
「日本語」で考えてから、英語に変換していること。

日本語の頭で考えた瞬間に、英語本来のニュアンスからズレてしまう「翻訳のトリック」について、言語学的な視点から解説します。

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1. なぜ「直訳」は失敗するのか?日本語と英語の決定的な違い

直訳が通じない最大の理由は、日本語の動詞の「守備範囲」が広すぎるからです。

日本語の動詞は、「状況・意図・手段」をすべて一語でふわっと包み込んでしまいます。対して英語は、「今、何をしているのか」を具体的な動作単位で分解する言語です。この「思考の単位」のズレが、不自然な英語を生む正体です。

事例①:「薬を飲む」を Drink と言ってはいけない理由

  • ❌ 日本語脳: Drink medicine
  • ネイティブの感覚: 液体をゴクゴクと喉を鳴らして「飲料」として楽しんでいる映像
  • ⭕ 英語脳: Take medicine

英語では、飲む・食べるという動作よりも、「体内に摂取する(取り込む)」という結果が重要視されます。日本語は「口に入れる動作」に注目し、英語は「摂取する(Take)」という行為を言語化するのです。

事例②:「消す=Erase」だけど「電気を消す」はEraseじゃない

  • ❌ 日本語脳: Erase the light
  • ネイティブの感覚: 消しゴムや修正液で、物理的に光をこすり消している映像
  • ⭕ 英語脳: Turn off the light

英語では電気の「光」そのものを消去するのではなく、「スイッチを切る(Turn off)」という物理的な動作を表現します。

2. 基本単語 give / get で起きる「日本語脳の変換エラー」

中学で習う give(あげる)と get(もらう)。この和訳をそのまま当てはめると、会話の幅が狭まるどころか、誤解を招くことさえあります。

  • give = 主体が何かを「発生させ、動かす」
  • get = 自分の「状態が変化する」

例えば、“I got sick.” を「誰かから病気をもらった」と訳すのは不完全です。

この場合の「get」は、「健康な状態から、病気のコンディションへ変化した」という状態の変化そのものを指しています。

また、“I’ll give it a try.” は「試す」という行為を、今この場で発生させて動かすイメージです。

日本語の「あげる/もらう」という恩恵のニュアンスで考えた瞬間に、英語が持つ本来の躍動感が消えてしまうのです。

take/get/giveは英語でよく使う便利な単語です。使い方を理解すると、英語の上達につながります。

3. 日本人がよく使う「大丈夫」と「念のため」のトリック

日本語特有の「クッション言葉」を直訳すると、相手を困惑させることがあります。

「大丈夫です」の拒絶感

日本語の「大丈夫」には、「断る・問題ない・気にしない」など多くの意味が含まれます。

これをすべて I’m fine. で済ませようとすると、文脈によっては「結構です(もう話しかけないで)」という冷たい拒絶に聞こえてしまいます。

  • 丁寧に断るなら: I’m okay, thanks.
  • 手伝いを断るなら: I’m all set, thanks.

「Just in case」は重大なトラブルが起きる?

Just in caseは、私も間違えてよく使っていました。

日本人が挨拶代わりに使う「念のため」を Just in case と訳すと、ネイティブは「えっ、何か重大なトラブル(リスク)が起きる予兆があるの?」と身構えてしまいます。

  • 単なる確認なら: Just checking. / Just to be sure.
  • 本当のリスク回避なら: Just in case.

💡 イギリス人のJut in caseは日本語の「念のため」とは違うので注意

イギリス人はよくJut in caseと言います。

イギリス英語で Just in case がよく使われるのは、彼らが慎重な物言いを好み、不測の事態に備える文化があるからです。決して日本語の「とりあえず」と同じ感覚で使っているわけではありません。

4.「ちょっと難しい」を a little difficult とは言わない

  • ❌ 日本語脳: It’s a little difficult.
  • ネイティブの感覚: 「(能力的に)不可能だ」「絶対に無理だ」という拒絶。

日本語では「難しい」に「ちょっと」を付けると柔らかくなりますが、英語の difficult は非常に重い言葉です。ネイティブはやんわりと「厳しい」「厄介だ」と伝える際、単語そのものを入れ替えます。

  • ⭕ 英語脳(正解): It’s a bit tricky.(一筋縄ではいかない、厄介だ)
  • ⭕ 英語脳(正解): That might be tough.(それは厳しいかもしれませんね)

英語では「ちょっと」という言葉を足すのではなく、判断そのものを曖昧にする(might を使う)、あるいは動作の性質(tricky)を指摘するのが、本当の意味で「柔らかい表現」になります。

5. 英語は「感情」ではなく「判断」を言葉にする

「日本語で考えた瞬間」に失敗するのは、直訳が悪いのではありません。思考の「切り取り方」が違うからです。

  • 日本語: 状況を丸ごと一語で「まとめる」
  • 英語: 自分の動作や判断を「分解する」

英語がスムーズに出てくる人は、正しい単語を探しているのではなく、「今、自分はどう動きたいのか(断るのか、受け入れるのか、変化させるのか)」という判断を、動詞としてそのまま口に出しています。

フレーズを覚えたのに話せないあなたへ

もしあなたが、「意味は分かるのに、いざとなると口が止まる」のであれば、それは次の段階に来ている証拠です。

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「正しさ」を気にして黙り込んでしまうループを抜け出し、英語を英語のまま使いこなすための具体的なステップを、次の記事にまとめました。

英語フレーズは覚えたのに話せない人が必ず詰まるポイント