matterの意味は英語の辞書で「案件」「事柄」「問題」ってあったから、外国人の上司に「クライアントと問題があって」って言いたくて”I have a matter with the client”って言ったら、微妙な顔されたの。何でなの?
- matterの意味を知りたい
- matterの適切な使い方を知りたい
- matterを使ったよく使われる言い回しや慣用句があれば知りたい
私もことはさんと全く同じ経験をして、matterの使い方には随分と悩まされました。今でもよく悩みます。
「クライアントと問題があって」って言う場合は、”I have an issue with the client.“の方が適切なんだ。実は、英語ネイティブの人は、日本語でよく使うこの場合の「問題」という意味でmatterを使用することはあまりないの。
ちなみに、matterは文脈によって意味が変わるので、適切な文脈が前後にないのにmatterを使うと意味不明になってしまうんです。
”I have a matter with the client”は、「問題がある」のかニュートラルに「案件」と言ってるのかわかりませんよね。
つまり、matterが使われる状況や前後の文の内容によって、その意味やニュアンスが変わるから、matterの単語の意味をひと言で説明するのは難しいの。
そこで、今回はmatterの意味や使い方を例文で紹介しながら解説します。単語を見ただけでは意味がわかりづらいmatterを使った役立つ慣用句9選も紹介するので、ご覧ください。
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matterは英語でどんな意味?
一般的に「matter」の意味は「事柄」「問題」「厄介なこと」「重要なこと」などの意味を示し、ポジティブな文脈とネガティブな文脈の両方で使用されます。matterを使った下記の2つの英語表現を使って、実際に英会話で使われる例文を紹介します。
- What’s the matter?
(どうしたの?) - This is a serious matter.
(これは深刻な問題だ)
【英会話の例文】 “What’s the matter?”
相手が心配や悩みを抱えていると感じて、相手になぜなのか尋ねるときに使われる表現です。
(悲しそうだけど、どうしたの?)
B:I broke up with my boyfriend.
(彼と別れたの。)
【英会話の例文】”This is a serious matter.”
「これは深刻な問題です」という意味です。一般的に、話題が重大で重要なものであり、注意が必要な状況を指しています。matterは、フォーマルな状況で使うのが一般的で、堅苦しい印象を与えます。
(君に重要なことを話さないといけないんだ。)
B: Sure, what’s the matter?”
(もちろん、何かあったの?)
A: This is a serious matter, but I lost my job today.
(これは深刻な問題だけど、今日職を失ったんだ。)
”This is a serious matter”は、ネガティブな意味合いがあることが一般的ですが、文脈によってはポジティブな文脈で使用されることもあります。例えば、ビジネスの上で重要な問題を解決するために使う場面などで使う場合です。
(今日の会議では、深刻な問題である顧客満足度の低下と、それを改善するために取っている行動について話します。)
matterの使い方は文脈によって意味が変わるので注意が必要です。例えば、”The meeting is a serious matter”は、文法的には間違いではありませんが使わない英語です。
日常的な会話やビジネスコミュニケーションでは、一般的に”matter”を使って会議を指すことはあまりありません。下記のように一般的には、”issue”や”event”の方が適切です。
・The meeting is a significant issue.
・The meeting is an important event.
matterの使い方は4種類に分けられる
次に、一般的によく使われるmatterの具体的な使い方の例文を紹介します。matterには、主に大きく分けて4種類の意味と使い方があります。
- 重要である
- 問題となる
- 意味する・要するに
- 物質・材料・要素・成分
①重要である
特定の事柄や意見が意味や価値を持つ場合に使用されます。
(この問題は、私にとってすごく重要です。)
(彼女の意見はこの決定に影響を与えない。)
これは、「問題となる」のグループにも該当します。なぜなら、「彼女の意見がこの決定に影響を与えない」と述べており、特定の問題や重要な状況が指摘されているからです。
(金は彼にとってもっとも重要なものです。)
(家族は私にとって最も重要です。)
②問題となる
特定の状況で問題や懸念となる場合に使用されます
(何か問題でもあるのか?)
(車で行こうが電車で行こうがどちらでも問題ないよ。)
これは、もっと簡単に、”It doesn’t matter to me either way.”
(私はどちらでも問題ないよ)と言ってもOK。
③意味する、要するに
何かの意味や要点を指す場合に使用されます。
(彼が何を言おうとも、私たちは自分たちのやり方でやるつもりだ。)
(遅れて来ても構いません。)
“It doesn’t matter if you come late.”のmatterが「意味する・要するに」 の意味に該当するのは違和感を感じるんだけど、なんでこの種類に該当するの?
この “matter” は、物事が重要であるという意味ではなく、「何か特定の状況や条件が重要ではなく、問題にならない」ことを示しています。
物事が特定の状況や結果に影響を及ぼすかどうかを指していて、「つまり、遅刻しても問題ない」という状況を示しているので、「意味する・要するに」という意味の用法に該当するの。
(彼女が言ったことは意味がない。それは真実ではないから。)
(他の人がどう思おうとも、自分に正直でいいんだよ。)
④物質・材料・要素・原因・成分
物理的な物質や要素を指す場合に使用されます。
(このテーブルは何からできてるの?)
B: It is made of wood, which is a natural matter.
(天然の物質である木からできてるんだよ。)
(化学者はさまざまな種類の物質の特性を研究します。)
(このレシピでは、使用する材料の種類と品質が味を決める要素です。)
上記はすべて一般的な”matter”の使い方ですが、文脈によって意味が変わるので注意してね。具体的な意味を理解するには、その文脈を考えることが重要です。
matterを使った役に立つ慣用句9選
matterを使った役立つ慣用句(idiom)9選を紹介します。ちなみに、慣用句(idiom)とフレーズ(Phrase)は似ているようで異なるものです。慣用句はフレーズの一部で、単語一つひとつの意味からその全体の表現の意味を推測できないのが特徴です。
- It’s a matter of time
- What’s the matter?
- Mind over matter
- As a matter of fact
- no matter what
- no matter how
- no matter where
- all that matters
- take matters into one’s own hands
It’s a matter of time.(それは時間の問題です)
何かが起こるのは時間の問題である、時間の過程で解決する、遅かれ早かれのことだなどの意味を持つ表現です。
(それは時間の問題です。)
(彼女はピアノを上手に弾けるようになるだろう。時間の問題だ。)
(彼らの関係は良くなるだろう。時間とコミュニケーションの問題だ。)
(彼はその喪失を乗り越えるだろう。時間と癒しの問題だ。)
What’s the matter?(どうしたの?)
相手が何か問題や心配事を抱えている様子を見かけたり、不安げな様子を見せた場合に、その原因を尋ねるときによく使います。
(最近、すごく気分が沈んでるんだ。)
B: What’s the matter? Do you want to talk about it?
(どうしたの?話を聞きたいことがあれば話してもいいよ。)
何か悪いことが起こっているか、相手が心配している様子を尋ねる表現です。
Mind over matter(精神が肉体を支配する)
意志や精神力が肉体的な問題を克服することを強調する表現です。
(適切なマインドセットがあれば、アスリートはスポーツにおいても精神力が物理的な問題を克服できることを証明しています。)
(マラソン中、私は疲れていましたが、自分に『精神力が肉体を支配する』と言い聞かせ、レースを完走できました。)
As a matter of fact(実際のところ)
「実は」「実際のところ」という意味で、主に話や文章の中で、事実や真実を強調したり、前置きをしてそれに続く内容を強調したりする際に使用されます。
(実際のところ、彼女はその学校の出身者で最も才能あるミュージシャンです。)
(実は、そのバーに行ったことがありません。)
*Alumniは、卒業生や同窓生を指す英単語です。学校を卒業した人々を指すときに使われます。
no matter what(何が起ころうとも)
何が起ころうとも、どんな状況や条件であろうとも、その結果や意見は変わらないという強い意志や決意を示す際に使われます。
(どんなことがあっても、あなたを支えます。)
(何が起ころうとも、私たちは一緒に立ち向かいます。)
他にも、”no matter how” や “no matter who” など、状況によって変わる部分を入れて使うことで、さまざまな意味を持つ慣用句を作ることができます。
no matter how(どれだけ〜でも)
主に「方法」や「手段」に焦点を当て、どのような方法であっても同じ結果が得られることを表現します。
(どれだけ頑張っても、過去を変えることはできない。)
(お金がどれだけあっても、幸せは買えない。)
(年齢がいくつであっても、新しいことを始めるのは遅すぎることはない。)
“no matter how”は、どんなに厳しい状況や条件に変わっても、ある一定の事実や真理が成り立つことを示す慣用句です。“no matter how”を使うことで、強い主張や普遍的な真理を表現することができます。
no matter where(どこであっても)
どこであっても、どの場所であっても状況や条件が同じであるという意味を表します。
(どこへ行っても、自分自身は変わらない。)
(どこへ行っても、私はいつだってあなたのそばにいます。)
(どこを探しても、鍵が見つからない。)
これらの表現は、場所や状況がどうであっても、特定の事実や感情が変わらないことを示す慣用句です。”no matter where”を使うことで、どの場所にいても適用される一般的な真理や状況を強調することができます。
all that matters(重要なのは〜だけだ)
“all that matters”は、「重要なのは〜だけだ」という意味を示します。
(最終的に重要なのは、私たちが一緒に幸せであることだ。)
(他の人が何を思おうとも重要なのは、あなた自身が信じることだ。)
この表現は、何かの状況や問題があるときに、最も重要な要素や真理を強調するときに使われます。他の事柄や意見は重要でなく、大切なのは特定のひとつの事柄だけだというニュアンスが含まれます。
ちなみに、この慣用句の場合は、matterに複数「s」が付いて、”matters”になっていますが、これはAll the mattersで「複数の要素や原因が含まれているすベてのこと」を示しています。
じゃあ、その後のbe動詞は複数形の”are”になるんじゃないの?
この文の主語は “all that matters” だよね。でも、この主語は “all”(すべての)という言葉が前についているから、意味的には「ひとつ(単数)の概念」を表してるんだ。だから、後の述語 “is” も単数形になる必要があるの。
take matters into one’s own hands(自らの手で問題を解決する)
“take matters into one’s own hands”は、英語の慣用句(idiom)のひとつであり、「自らの手で問題を解決する」という意味を持ちます。
(状況が悪化していたので、彼女は自らの手で問題を解決しようと決め、解決策を見つけました。)
(彼はもう助けを待ちたくなかったので、自らの手で問題を解決し、プロジェクトを一人で始めました。)
この表現は、他人の助けを待たず、自分自身で問題を解決することを意味します。
慣用句は単語一つひとつの意味から推測しづらい表現なので、ひとつのまとまった表現として覚えておくと、会話で自然な表現として使えるようになります。
フレーズやスローガン
慣用句や熟語ではありませんが、知っておくと役立つフレーズや有名なスローガンを2つ紹介します。
- in a matter of
- Black Lives Matter
in a matter of
時間的な期間や範囲を表す際に使われるフレーズです。状況や時間的な範囲を強調するために使われるフレーズであり、慣用句(idiom)として扱われることはありません。しかし、よく使われる表現なので、フレーズとして覚えておくと役立ちます。
(彼は数分のうちにレースを終えた。)
(状況は数時間の間に変わる可能性がある。)
(その問題は数日で解決された。)
“in a matter of”は、一つひとつの単語の意味からも推測できる組み合わせの表現であり、特別な文法ルールを持っているわけではありません。よって、熟語でもありません。
Black Lives Matter
Black Lives Matter(ブラックライブズマター)は「黒人の命は大切だ」を意味する黒人差別に反対する社会運動のスローガンです。
フレーズとして使われることもありますが、一般的には固有名詞として使われます。
アメリカ合衆国などで起きている黒人差別や人種差別に対し、不平等な社会に対抗するための、社会的・政治的な意味を持つスローガンであるため、一般的な英語のフレーズではなく、あくまでも固有名詞として使われます。
まとめ
“matter”は複数の異なる意味を持つ多義語なので、文脈によって意味が変わる単語です。使い方を理解するためには、文脈をよく把握して使うことが重要です。慣用句はよく使われるお決まりの言葉なので、単語ひとつ一つの意味を分解して理解しようとするのではなく、あくまでも慣用句として覚えておきましょう。